葬儀費用を工面するための一つの手段である葬儀ローン。その利用を検討する際には、メリットとデメリットの両方を正しく理解し、ご自身の状況と照らし合わせて、本当に必要な選択なのかを冷静に判断することが不可欠です。まず、葬儀ローンを利用する最大のメリットは、「手元にまとまった現金がなくても、希望する葬儀を行える」ことです。故人の預金口座が凍結され、すぐに資金が引き出せない場合でも、ローンを利用すれば、葬儀社への支払いを滞りなく済ませることができます。これにより、費用の心配を一旦脇に置き、故人との最後のお別れに集中できるという、精神的な余裕が生まれます。また、葬儀費用は、祭壇のグレードや参列者の人数によって大きく変動します。ローンを利用することで、予算の選択肢が広がり、「費用を抑えるために、本当はやりたかった演出を諦めた」といった後悔を防ぐことにも繋がります。さらに、多くの葬儀社が信販会社と提携しているため、審査が比較的スピーディーで、手続きが簡便であることも利点の一つです。一方で、デメリットも存在します。最も大きなデメリットは、当然ながら「金利が発生する」ことです。借り入れた元金に加えて、利息を支払う必要があるため、最終的な支払総額は、現金で一括払いするよりも高くなります。金利は、提供する金融機関やプランによって異なりますが、一般的には数パーセントから十数パーセント程度です。この金利負担を許容できるかどうかは、慎重に考える必要があります。また、ローンである以上、必ず「審査」が行われます。申込者の収入や信用情報によっては、審査に通らない可能性や、希望する金額を借り入れられない可能性もあります。さらに、返済計画をしっかりと立てなければ、葬儀が終わった後も、長期にわたって返済の負担が生活にのしかかることになります。故人を見送った後、新たな経済的なストレスを抱え込むことにならないよう、無理のない返済計画を立てられるかどうかが、利用の可否を判断する上での重要なポイントとなります。葬儀ローンは、あくまで一時的に資金を補うための手段です。その利便性の裏にあるリスクも十分に理解した上で、賢明な判断を下すことが求められます。
葬儀ローンを利用するメリットとデメリット