葬儀が終わった後、ご自宅に現金書留で香典が届くことがあります。遠方から、あるいは様々な事情で参列できなかった方々が、心を込めて送ってくださったものです。ご遺族としては、その温かいお気持ちに対し、どのように対応すれば良いのでしょうか。ここでは、現金書留を受け取った側のマナーと、その後の対応について解説します。まず、現金書留が届いたら、できるだけ早く、電話か手紙で「無事に受け取りました」という連絡と、お礼を伝えるのが最も丁寧な対応です。特に、現金という性質上、相手は無事に届いたかどうかを心配しているはずです。その不安を解消してあげるという意味でも、受領報告は速やかに行いましょう。電話で連絡する場合は、「〇〇です。この度は、ご丁寧にお香典をお送りいただき、誠にありがとうございました。本日、確かに拝受いたしました。お心遣いに、家族一同、心より感謝しております」といったように、感謝の気持ちを伝えます。その際、相手が参列できなかった事情などを気遣う一言を添えると、より温かい印象になります。手紙やはがきで礼状を出す場合は、電話よりも少し改まった形になります。こちらも、香典が無事に届いたことの報告と、温かい心遣いへの感謝を中心に綴ります。メールやSNSでの連絡は、相手が非常に親しい友人などでない限り、避けた方が無難です。そして、その後の対応として「香典返し」の準備が必要になります。現金書留でいただいた香典も、もちろん香典返しの対象となります。いただいた金額の三分の一から半額程度の品物を選ぶのが一般的です。不祝儀袋の中袋や、同封されたお悔やみ状に書かれている住所宛に、品物を送付します。香典返しの品物には、必ず挨拶状(お礼状)を添えるのがマナーです。挨拶状には、香典をいただいたことへの御礼、四十九日法要などを無事に終えたことの報告、そして本来であれば直接お会いしてお礼を申し上げるべきところを書面で失礼することへのお詫びなどを記します。葬儀後の慌ただしい中で、これらの対応は大変な作業に感じられるかもしれません。しかし、足を運べない中でも、心を寄せてくださった方々の気持ちに、誠実に応えること。それが、故人に代わってご遺族ができる、大切な務めの一つなのです。